今まで、「探す」には「見つけようとする」という意味しかないと思っていました。辞書が挙げる語義にも、現代において一般的な用法(下記1.と2.)では「見つけようとする」以上の意味は含まれていません。
1. 必要なものや失ったものを見つけようとする。「安い下宿を―す」
2. ものを見つけるためにかき回す。「押し入れを―す」
3. 中にある物を表し出す。「このふる里の女の前にてだにつつみ侍るものを,さる所にて才―しいで侍らむよ」〈紫式部日記〉
4. 他の動詞の連用形に付いて,度を越して…する,の意を表す。「ふみ付け〱ふみ―されて土まぶれ」〈浄瑠璃心中天網島上〉
(「スーパー大辞林」より、例文を一部割愛)
しかし、「探してくる」「探してきた」という表現になると、文脈によっては「探した上で見つけてくる」「探して見つけて帰ってきた」という意味が入っているように思われます。
例1: この犬は毎回ボールをちゃんと探してくる。
例2: じゃあ僕が探してくるよ。
例3: 友達が適当な動画を探してきた。
例4: 今日は家具を探してきた。
例5: これまで長い年月探してきた。
例6: せっかくまぼろしの親子丼を探してきたのだから、食べて帰らないわけにはいかない。
(Googleで検索した結果を参考にひねり出した例文です)
これらの例でいうと、例1と例3です。
- 例1と例3は、実際に犬はボールを見つけ、友達は動画を見つけたという意味になるのでしょうか?
- その場合、その意味はどこから生じているのでしょうか?文法用語に詳しくなく、的確な表現ができませんが、「比喩」ではないし、「文脈にもとづいた慣習的意味付け」のようなものでしょうか。